ALL-ONEの75年間

本物でいること
使命に基づくとは、コミュニティを大切にすること

近年、ますます多くの企業が「使命に基づいた運営」を謳っています。今では巨大な多国籍企業でさえこの主張をしていますが、依然として利益を最優先にした構造を持っています。ドクターブロナーは、ただ「使命に基づいている」と言うだけでは十分でないことを理解しています。重要なのは、その使命が何であるかです。

ドクターブロナーにとっての使命はコミュニティです。私たちの最大の目標は、人々を集めて共通の善を追求することです。これは単なるマーケティングの言葉ではなく、ドクターブロナーのDNAであり、ビジネスモデルそのものです。ドクターブロナーの活動は、すべて企業の基本価値観として据えている原則(Cosmic Principles)によって導かれています。

これらの原則は、ビジネス、顧客、従業員、サプライヤー、地球、そしてより広いコミュニティという6つの相互に関連した影響領域を表しています。ドクターブロナーは、それぞれの健全性を集団として守ることに全力を尽くしています。

このオールワンレポートでは、2023年におけるこれらの領域への影響を振り返ります。このレポートは、ドクターブロナーが「使命に基づいた企業」であると示すために作成されました。ドクターブロナー基本価値観(Cosmic Principles)を尊重し、全ての活動において全体的で相互に関連したアプローチを確保することで、最高の形を目指しています。

昨年、ドクターブロナーは創業75周年を迎えました。

その間、ドクターブロナーは大きく成長しました。年収は増加し、従業員数は300人を超えました。昨年、ドクターブロナーはこれまでに寄付した慈善活動および社会運動支援の総額が1億ドルに達し、環境負荷を軽減するための新しいパッケージを導入しました。ドクターブロナーのグローバルサプライチェーンは、現在、パレスチナ、ガーナ、スリランカ、インドなどの地域で、推定35,000人の人々に積極的かつ直接的な影響を与えています

1948年に創業者であるエマニュエル・ブロナーが蒔いた種は、世紀末までに大切に育まれ、今では誰もが想像していなかったほど大きく成長しました。この会社と、それが成し遂げたすべてを誇りに思っています。

社会もまた、過去75年間で大きな進歩を遂げました。市民権や人権、そして環境持続可能性を求める社会運動が、エマニュエルが生涯をかけて目指した「ALL-ONE」の世界に、少しずつドクターブロナーを近づけてきました。しかし、まだまだ道のりは長いです。

世界はCOVID-19パンデミックから回復を続けている一方で、気候変動は依然として地球上の生命の未来にとって最大の脅威の一つです。不均衡で病んだ経済は、一部の少数の利益を優先し、多くの人々が基本的な生活を送るのに苦しんでいます。また、占領軍や軍事大国による絶え間ない戦争が、ガザやウクライナなどで大量の避難、苦しみ、死をもたらしています。人種差別、性差別、反LGBTQ偏見、反ユダヤ主義、イスラム恐怖症、その他の優越主義的なイデオロギーが、多くの人々を社会の周縁に閉じ込め、全員が最善の人生を送ることを妨げています。

ソープメーカーが世界を変えられるでしょうか?一社だけでは無理かもしれません。しかし、皆さんと一緒になら、できると信じています。ドクターブロナーは、世界に変化をもたらし、不正と苦しみの流れを変えたいと思っている人々を支援し、力を与えることを目指しています。ドクターブロナーは、より良いビジネスの方法を示し、その過程でコミュニティを強化するモデルになりたいと考えています。

ドクターブロナーは、このインパクトと持続可能性に関するレポートを2015年以来毎年発行してきました。このレポートは、使命に基づいたビジネスとしてのドクターブロナーの歩みを記録し、今後の進むべき方向を示す手助けとなるものです。皆さんがここで学んだことが、あなた自身の旅に刺激を与えるかもしれません。ドクターブロナーの運営方法に関心を持っていただけること、そしてそのサポートには心から感謝しています。

皆さんに、永遠の感謝を捧げます。コミュニティの力を信じて、真に「ALL-ONE」の世界を創りましょう。

ドクターブロナー CEOデイビッド・ブロナー、社長マイケル・ブロナー

1.2023年 財務管理

2023総収益 $199.6 million

会社への再投資 $10 million(5%)
相続分配 $0.8 million (0.4%)
支払利子 $1.8 million (0.9%)
減価償却 $2.2 million (1.1%)
税金 $8.1 million (4.1%)
寄付とスポンサーシップ $5.7 million (2.8%)
賃金、福利厚生、利益分配 $48.7 million (24.4%)
製品・サービスの諸経費 $46.6 million (23.3%)
原材料 $75.8 million (38%)

グローバルの売上比率

アメリカ 87.8%
インターナショナル 12.2%

オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、中国、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、ハンガリー、アイスランド、インドネシア、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、韓国、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モーリシャス、メキシコ、オランダ、ノルウェー、パナマ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、ウガンダ、イギリス

2.輪は途切れない

Cosmic Principle #1 – 私たち自身

5世代にわたる石けんづくりの知恵を称えて

ドイツで私たちの祖先が100年以上前に石けんづくりに使用していた、約900kgの巨大な鋼鉄製釜が数年前にドクターブロナーの工場に届きました。本社にこの釜を展示する小さな博物館をつくるのが当然だろうと思いました。しかし、そこで難しい問題が浮上しました。この展示は何をテーマにすべきか?いくつかの写真とキャプションだけでブロナー家の歴史のどの部分を伝えられるのか? そして、そもそもどのように博物館をデザインしたらいいのか?

少し遡ると、この石鹸づくりようの釜は、2010年にドクターブロナーの社長であるマイケルとCEOのデビッドがドイツへ旅行した際に発見したものでした。マイケルとデイビッドの兄弟は、ドクターブロナーの石けんづくりの先祖の出身地である南西ドイツのラウプハイムとハイルブロンとのつながりを求めていました。ハイルブロンでは、ブロナー家(当時は「ハイルブロナー家」)が大規模な工場を設立し、1930年代には「マダフォーム」ブランドの石けんをドイツ全土に供給していました。しかし、ナチスが第二次世界大戦直前にこの事業を接収し、最終的にハイルブロナー家の大半は強制収容所に送られ、命を落としました。

マイケルとデイビッドがハイルブロナー家の旧工場跡を訪れた際に、現在の住人であるフランク一家に招き入れられました。フランク家は現在、その建物を使って高級な機械切削工具を製造しています。フランク家が彼らに見せてくれたのは驚くべきものでした。中には、ブロナー家がかつて石けんを製造するために使っていたオリジナルの釜がまだ残っていたのです!

数年後、ドイツのパートナーによって慎重に取り出され修復された石けん釜は、カリフォルニア州ビスタにあるドクターブロナーの製造工場へと輸送されました。昨年、75周年の祝典を迎えたことが、この石けん釜にふさわしい場所を与えるきっかけとなりました。

工場のフロアを歩きながら、施設やデザインチームと設置の計画を立てているうちに、あることに気づきました。この博物館は、5世代にわたって続く最高の石けん製造へ献身の物語を伝える機会だということに。それは、ラウプハイムのユダヤ人地区の中心にあるハイルブロナー家の小さな地下室で始まり、今日ではカリフォルニア南部の再生可能エネルギーを100%使用した最先端の工場で続く、品質と職人技への誓いを称えるものです。道具や技術は変わりましたが、最高の原材料を使ってピュアな石けんをつくるというドクターブロナーの献身は一度も揺らいだことがありません。

3.2023年 フェアトレードとオーガニックのサプライチェーン活動

調達したフェアトレード原材料の総額 $19,215,411
ドクターブロナーが使用したフェアトレードオイルの総量 7,414トン
ソーシャルコミュニティプロジェクト費の総額 $1.43 million  

・農家支援 $1,033,715(パレスチナの農民に農具を配布)
・健康 $191,062(スリランカの診療所に超音波診断装置を寄贈)
・教育 $81,346(ガーナの子どもたちへの教育奨学金)
・水と衛生 $16,412(インドの女性と女児のための月経啓発プログラム)
・インフラ $77,258(コートジボワールの飲料水井戸用発電機)
・その他 $34,188(フェアトレード委員会の資金調達)
小規模農家総数
・男性 10,302名
・女性 7,185名
研修を実施した小規模農家総数
・購入金額合計 $15,013,083
・農家の研修費用 $240,856
・有機農業に転換した農家数 2538
雇用創出総数 1,682
・男性 825名
・女性 857名
栽培総面積 127,338エーカー
・オーガニック認証取得済み 116,681エーカー
・リジェネラティブ・オーガニック 35,986エーカー
・オーガニックへの転換 10,657エーカー
・有機農業に転換したエーカー数 6,612エーカー
ダイナミック・アグロフォレストリー導入面積 151エーカー
・植樹本数 243,724本
・堆肥の配布 18,468メトリックトン
・被覆植物を栽培している農家の割合 57%
・減農薬栽培を実施した農家の割合 63%
4.パレスチナに注目する

Cosmic Principle #4—ドクターブロナーのサプライヤー

ドクターブロナーのオリーブオイル生産者を支援する

倫理的な調達とフェアトレードに対するドクターブロナーのコミットメントは、最低価格の支払いやリジェネラティブ・オーガニックの実践にとどまりません。それは、最も困難な状況においても、サプライヤーパートナーと連帯することを意味しています。このコミットメントは、ドクターブロナーの石けんに使用されるオリーブオイルの90%を供給するパレスチナのヨルダン川西岸地区にも重要な意味を持ちます。そこでは農家が非常に厳しい状況に直面しています。

私たちのサプライヤーであるカナーン・フェアトレードの創設者、ナセル・アブファルハ氏は、2023年末にヨルダン川西岸地区の自宅からドクターブロナーのスタッフに話をし、現地の悲惨な状況を語りました。ナセル氏は、イスラエルの検問所(その多くは、イスラエル人の移民予備軍が管理する無許可の道路封鎖)が最近急増し、パレスチナ人の日常通勤の風景が劇的に変化していることを詳述しました。かつてはヨルダン川西岸地区内を短時間で移動していたのが、今では予測不可能な長旅に変わってしまいました。こうした検問所のせいで、オリーブ農家は果樹園にたどり着いたり、農産物を工場に運んだりするのに苦労するだけでなく、その過程で嫌がらせや屈辱に耐えることも少なくありません。

ナセル氏はまた、過激派のイスラエル移民がしばしばパレスチナの牧畜民を脅迫し、身体的暴行を加えて土地から追い出し、家畜を盗むという強引な手口を強調しました。パレスチナ人が正義を求めようとしても、不透明で迷路のようなシステムが彼らを虐げるようになっています。ナセル氏の証言は、2024年5月16日の『ニューヨークタイムズ』紙に掲載された、2つの異なる不平等な司法制度が、イスラエル移民たちの犯罪をいかに許してきたかを詳述した記事にも反映されています。移民がイスラエル政府から暗黙の支持を受けていること、そして被害を受けたパレスチナ人に対する正義の欠如は、パレスチナ人の政治的解決に対する信頼を損なうだけでなく、イスラエルの民主主義の正統性をも蝕んでいます。

世界の視線がガザでの残虐な戦争とその市民の激しい苦しみに注がれるのは当然ですが、

ヨルダン川西岸地区での移民による暴力と嫌がらせの増大が、同地区のパレスチナ人の経済的苦難、士気の低下、そしてパレスチナ人の権利剥奪を引き起こしているかにも目を向けなければなりません。

5.農業従事者の健康を優先する

Cosmic Principle #4—ドクターブロナーのサプライヤー
インドのミント農家に変革をもたらす移動診療キャンプ

ミントオイルのサプライヤーであるパヴィトラメンテが拠点を置くインドのウッタル・プラデーシュ州の農村部では、農家はほとんど医療サービスを受けられていません。医療施設まで遠く、専門的な医療サービスが不足していることや、健康に関するタブーが広まっているため、彼らの生活の質が損なわれています。これらの問題に対処するため、2016年にドクターブロナーのスペシャルオペレーションズチームはパビトラメンテと協力して、これらのコミュニティに直接、必要不可欠な医療サービスを提供する医療キャンプを開始しました。

キャンプの主な焦点は、目の健康です。農村の農家は長時間日光にさらされ、適切な目の保護具がないため、眼疾患にかかることが多くなります。さらに、野外調理用のコンロから出る煙や畑からのほこり、栄養不足がこの問題を悪化させています。ドクターブロナーの医療キャンプは、最寄りの大都市バレイリーにある高評価の眼科クリニックであるスワプニラ・プラサド医師と協力しています。彼女のチームは、通常これらの村では手に入らない高度な医療機器と専門知識をキャンプに提供しています。

プラサド医師とそのチームは、キャンプで何百人もの人々に眼科検診を行い、眼鏡や薬の処方箋を出します。参加者はその場で眼鏡や薬を無料で受け取ることができます。この費用は、フェアトレード基金(ドクターブロナーやお客様からいただく)や非営利団体からの助成金で全額賄われています。プラサド医師は、白内障が進行してほぼ失明している患者を特定し、白内障手術を推奨します。これらの患者にはバレイリーまでの交通費が渡されます。1回の手術費用はわずか150ドルですが、受益者の人生を変えることができるのです。

キャンプで最初に治療を受けた患者の一人であるジャグディッシュさんは、両目の白内障手術を受けました。手術前、彼の視力は悪化し、暗さやめまいが増し、仕事や社会生活から離れざるを得ませんでした。しかし、手術の成功によって視力が回復し、以前の活動を再開することができました。彼は再びバイクにも乗るようになっています。もう一人の患者のベラヴァティさんは、重度の白内障と痛みに苦しんでいましたが、病院に行ったことがなかったため最初は手術をためらっていました。しかし、最初の手術が成功したことで、彼女はもう片方の目の治療も受けることを決断しました。

これらの医療キャンプがもたらす深い影響は、提供されるサービスだけでなく、持続可能な医療アプローチにも見られます。2016年以来、22回の医療キャンプを開催し、約16,000名にサービスを提供しました。参加者1人あたりの平均費用は治療費と投薬費を含めても8ドル未満です。このイニシアチブは稼働的で優れた医療への集中投資がどれだけ大きな健康改善につながるのかを示しています。

6.2023年 従業員統計
アメリカの総従業員数 325名
内部から昇進した管理職 61名
※管理職は、部下を持つ者、または事業の主要部門を個人で管理する者として分類しています。
従業員の平均年齢 41歳
・平均在職期間 7年
・平均離職率 6.07%
BIPOC(黒人、先住民、有色人種)の従業員割合 65.85%
EEO-1フォーム*¹に基づく全従業員の人種と民族性
BIPOC(黒人、先住民、有色人種)の管理職 38%
正社員初任給 時給$25.93
カリフォルニア州の2023年の最低賃金(時給$15.50)よりも67%高い
・任期付き社員の初任給 時給$23.05
・好業績による平均年間報酬増額 6.78%
・受給資格者の平均年間手当支給額 $840.00
役員給与の上限 5:1
ドクターブロナーでは役員給与の上限を、最低給与の5倍としています。経済政策研究所が2023年に発表した報告書によると、アメリカのCEOの平均給与は従業員の平均の344倍でした。
(出典:経済政策研究所、2023年)
ドクターブロナーのBインパクトスコア 206.7
ドクターブロナーは、独立した第三者の基準に従って社会的・環境的パフォーマンスを測定することに取り組んでいます。非営利団体B Labが開発したBインパクトアセスメント基準を選択しました。スコアは、地域社会、顧客、環境、ガバナンス、従業員の5つの影響分野にわたって評価されます。
退役軍人の状況
従業員の49%からの回答に基づく調査♰
・退役軍人または現役軍人 3%
・軍務経験なし 89%
・回答なし 8%
障害の状況
従業員の49%からの回答に基づく調査†
・障害がある 3%
・障害がない 89%
・回答なし 8%
性的指向
従業員の49%からの回答に基づく調査♰
・LGBTQIA+ 6%
・異性愛者/ストレート 76%
・回答なし 18%
ジェンダーアイデンティティ
従業員の49%からの回答に基づく調査♰
・女性 49%
・男性 39%
・他のジェンダーアイデンティティ 4%
(Aジェンダー、Bジェンダー、ジェンダーフルイド、ジェンダークイア、ノンバイナリー、トランスジェンダー、トゥースピリット)
・回答なし 8%

*¹男女雇用機会均等委員会(EECO)が従業員100人以上のすべての雇用主に義務づけているデータ収集であるEEO-1に基づいています。

†ドクターブロナーは、社会的公正、多様性、公平性、インクルージョンの育成に関連する先進的なベストプラクティスを社内で実践するために、使用する言語やアプローチを継続的に改善し、進化させることを約束します。従業員が、特に性的指向、性別、身体障害、退役軍人の地位に関して、安心して自己申告・自己開示を行うことができると確信するようになるために、また、これらの情報収集能力を高めていくために、今後のレポートでより多くの情報を提供することを目指します。

7.嵐からの避難所

Cosmic Principle #6—ドクターブロナーのコミュニティ
難民の希望と住まい

ドクターブロナーとジョニー牧師との繋がりは、数年前、リオグランデ川を渡るハイチ難民と移民の急増がきっかけでした。この人道危機を理解しようと、ドクターブロナーのエンゲージメントディレクターであるバーティン・カベリス(彼女自身もハイチ系アメリカ人)がドクターブロナーのリーダー陣とジョニー牧師を繋げました。ジョニー牧師自身もハイチからの難民であり、スタッフに自分の体験を語ることに同意してくれました。

ジョニー牧師は、自らのハイチからの苦難の移住経験について話してくれました。亡命が認められるかどうかもわからないまま、妻や子供と何年も離れ離れになり、深い絶望と不安を味わったことを感動的に語りました。その耐え抜いた姿勢は非常に心を打たれるものでした。最終的に家族と再会し、現在はサンディエゴで生活するハイチからの難民にとって希望と支援の柱となっています。彼自身の苦難の旅によって形成された深い共感は、他の人々を助けるための強い信念へと繋がっています。

サンディエゴ郡唯一のハイチ人教会で活動しているジョニー牧師は、教会の敷地内にある老朽化した2部屋の家を約60人が避難できる避難所に改築しました。窮屈な環境ではありましたが、この避難所は住民にとって非常に重要な安全とコミュニティを提供していました。しかし昨年、市の検査でいくつかの衛生違反が見つかり、シェルターは一時的に閉鎖せざるを得なくなりました。この緊急事態に対して、ドクターブロナーはできる限りの支援を行おうとしました。ドクターブロナーのスタッフであり熟練した建設業者でもあるクリス・“タンク”・マイヨーとロベルト・アルバレスは、ボランティアとして自らの技術を提供し、ドクターブロナーも改装に必要な材料費として3万ドルを寄付しました。

改装チームは限られた予算の中で奇跡を起こしました。キッチンとバスルームを完全に解体してつくり直し、温水設備を設置しました。こうした努力によって生活環境が大幅に改善され、シェルターは居住者にとってより安全で快適なものになりました。改装が完了した後、何年もかかることもある入国審査を待つ間、コミュニティは再びここを家として使うようになりました。ジョニー牧師は、何も持たずにここにやってきたハイチ人を支援するためのたゆまぬ努力の出発点としてこのスペースを利用しています。

コミュニティを重視するということは、単に非営利団体にお金を寄付する以上の深い意味を持っています。もちろん、それも私たちが行っている大切な活動の一部ですが、それだけではありません。人と人を繋げることが重要なのです。全てはバーティンがジョニー牧師と繋がったことから始まりました。ジョニー牧師がドクターブロナーの従業員に自身の話を伝え、従業員たちはその後サンディエゴにいるハイチからの移民たちと繋がり、必要な避難所と支援を提供しました。こうした繋がりの連鎖、アイデア、解決策、リソース、希望の絶え間ない流れは、真のコミュニティ活動とは何かを示しています。

8.2023年 環境フットプリント
原材料 フェアトレード&オーガニック原材料
フェアトレード原材料:72%/16,345,291 lbs.
オーガニック原材料:76%/17,235,869 lbs.
電気使用量 2,463,667 kWh
2018年から100%再生可能エネルギーを使用!
2022年からは米国環境保護庁(EPA)のグリーンパワーパートナーの定義に基づく100%グリーン電力を達成しました。
天然ガス:86,597サーム
化石燃料:19,478ガロン
プロパン:1,531ガロン
梱包を含む全製品の総重量 45,599,194 lbs.
純製品含有量:40,957,434/90%
正味梱包量:4,641,760/10%
金属:30,858/1%
紙:1,763,647/4%
プラスチック:2,472,862/5%
ガラス:374,393/1%
水消費量 6,574,232ガロン
包装資材
リサイクル&リサイクル可能素材
*使用済みリサイクル
**アメリカのリサイクル基準による
廃棄物発生量 1,839,623 lbs.
温室効果ガス排出量 66,381 MT CO₂e

スコープ1: 直接排出
ドクターブロナーが直接所有または管理する資源からの排出を指します(例:社用車)。

スコープ2: エネルギー間接排出(市場ベースおよび地域ベースのアプローチ)
ドクターブロナーの工場で使用する電力からの排出を指します。ドクターブロナーはGHGプロトコルに従い、市場ベースと地域ベースの両方の数値を報告しています。地域ベースの排出は、地域の電力網から利用した再生可能エネルギー以外の電力によるものを反映しています。市場ベースの排出は、Organic ValleyおよびOneEnergyとの提携を通じ、「ミッドウェスタンポレネーター フレンドリーソーラープロジェクト」から取得した再生可能エネルギー証書(REC)や、太平洋北西部の先住民コミュニティにエネルギーの自立性、強靭性、エネルギーコスト削減をもたらす再生可能エネルギープログラムに基づくものを反映しています。

スコープ3: その他の間接排出
ドクターブロナーの活動に関連し、ドクターブロナーの直接管理外にある資源からの排出を指します(例:サプライチェーンでの排出、輸送、出張)。

9.革新のために耳を傾ける

Cosmic Principle #2—ドクターブロナーのお客さま
お客さまがドクターブロナーを成長させる

創設者エマニュエル・ブロナーがドクターブロナーを経営していた頃、石けんのラベルに自分の電話番号を記載していたのは有名な話です。彼は電話をかけてきた人と”モラルABC”について(大抵長々と)話したがりました。ドクターブロナーはこのお客さまとの直接の繋がりを、75年にわたり続けようと努めてきました。エマニュエルの赤い電話から始まった会話は、現在でもカスタマーサービスの電話や、ブログやソーシャルメディアのコメント欄で続いています。ありがたいことに、お客様からたくさんのご意見をいただいています!

マジックソープのリフィルカートンを開発するきっかけとなったのは、プラスチックの使用量を減らす必要があるというお客様の声でした。私たちもその通りだと感じていました。最も持続可能な石けんをつくるというドクターブロナーの探求は、パッケージの環境負荷を減らさなければ達成できないからです。マジックソープの代替パッケージについて徹底的に調査をした結果、ほとんどが紙でできたカートンが現在の使用済みプラスチック(PCR)ボトルよりも環境負荷が小さいことがわかりました。そこで、2023年に一部の小売店で試験的に新たにマジックソープのリフィルカートンを発売しました。

このリフィルカートンを使えば、使い終わったマジックソープのボトルや他の容器に詰め替えることができ、使い捨てのプラスチック包装を減らすことができます。お客さまが慣れている石けんを購入してそのまま使用する方法が変わることにはなりますが、お客から貴重なフィードバックをいただきました。それは「新しいリフィルカートンが大好き!」という声でした。2023年の試験販売では、20万個以上のカートンを販売しました。1つのリフィルカートンは、各リフィルカートンのプラスチック使用量は、同等のプラスチックボトルに比べて82%少なく、この試験的な取り組みにより約27,500ポンド(12,500kg)のプラスチック削減が実現しました。この初期の成功を受けて、現在はホールフーズやターゲットなどアメリカ全土の店舗でリフィルカートンを販売しています。

また、2023年には南カリフォルニアのいくつかの店舗で、真に循環型のソープリフィルステーションを試験的に展開し、改良を続けました。この試験的な取り組みから貴重な知見を得て、店舗のレイアウトに合わせたステーションのデザイン調整や、使いやすさの向上を図りました。リフィルステーションは、消費者が自分のボトルに詰め替えることで使い捨て包装を削減できるだけでなく、店舗がバックヤードで詰め替えを行うことができ、販売システム全体から使い捨てを排除します。試験展開の成功に後押しされ、2024年にはカリフォルニアでリフィルプログラムを拡大する予定です。パートナー店舗とお客さまに感謝し、循環型経済への旅をこれからも共に歩んでいくことを楽しみにしています。

10.単一作物栽培の常識を変える

Cosmic Principle #5—私たちの地球
ダイナミック・アグロフォレストリーの普及拡大

現在進行形の熱帯雨林の破壊、気候変動による災害、そして化学物質を多用する集約型の単一作物栽培による土壌の枯渇に対抗する解決策として、「ダイナミック・アグロフォレストリー(DAF)」は魅力的な響きを持っています。ドクターブロナーは、パーム、ココナッツ、カカオなどの原材料の栽培方法を革命的に変える可能性を知ったとき、すぐにその価値を理解しました。しかし気候変動、森林破壊、化学合成肥料の問題を効果的に解決するためには、世界中の農家にダイナミック・アグロフォレストリーを採用してもらう必要があります。そして、それこそが最も困難なことなのです。

まず、ダイナミック・アグロフォレストリーは知識集約型の農法です。異なる作物を慎重に配置し、それぞれの樹種が互に栄養や日陰をサポートしあうように計画的に植える必要があります。つまり、農家はまったく新しい植え方と栽培方法を学ばなければなりません。さらに、ダイナミック・アグロフォレストリーは継続的なメンテナンスが必要です。直射日光と日陰の適切なバランスが保たれ、それぞれの作物が最適な光量を受けられるように剪定しなければなりません。しかし、ダイナミック・アグロフォレストリーを導入する上で最も大きな障壁は、長期的な取り組みが必要なことです。多くの農家がこのシステムの恩恵を実感するまでに、約4年かかります。人間は短期的な利益を優先する傾向があります。特に生活の収入源についてとなると、4年間のプロジェクトにコミットしてもらうことは容易ではありません。

しかし、献身的なアプローチによって、農家を説得して単一作物栽培からDAFに切り替えてもらうことができ、成果が見え始めています。ガーナのサプライヤーである「セレンディパーム」では、DAF導入の課題に特化した取り組みを複数行っています。セレンディパームのチームは自分たちの土地を購入し、この農業システムの有用性と効果を実証しています。さらに、農家に対してDAF畑の計画や維持管理に関する研修も行っています。つまり、農家がDAFへ転換するために補助金の提供や支援をしているのです。

結果はどうでしょうか?昨年インタビューした農家の90%が、自分たちで費用を負担することになっても、DAF管理を続けたいと答えました!初期に導入したジェームス・アクウェテイ・ダパーやコフィ・ボアテンのような農家は、害虫や病気の減少、干ばつへの回復力の向上などの成果を受けて、DAFの効果に確信を持ち、DAFの実践を他の畑にも拡大し、友人や家族にもその利点を伝えています。

こうした変化がもたらす影響は、机上の空論ではありません。ダイナミック・アグロフォレストリーの実践によってどれだけの二酸化炭素を吸収しているかを追跡する新しい計算ツールを採用し、ドクターブロナーは今後23年間で約90,000メートルトンの二酸化炭素を吸収できると見込んでいます。これは、約20,000台の乗用車を1年間路上から取り除くことに相当するのです!

11.2023年 アメリカとインターナショナルでの寄付
アメリカでの寄付

活動家および慈善団体への寄付合計

$5,657,697

ドクターブロナーは創設者エマニュエル・ブロナーが、街角や講堂でペパーミントのリキッドソープを売りながら人類に団結を呼びかけた時代から、「闘い、団結するソープメーカー」であり続けています。この活動家精神を受け継ぎ、今後もドクターブロナーの信念のために闘い、財政的に支援し続けることが使命です。以下は、2023年にドクターブロナーが支援した各活動分野の寄付金額と寄付先のリストです。

Animal Advocacy $300,000
Children & Youth Services $87,500
Civil & Human Rights $352,149
Community Betterment $676,600
Criminal Justice Reform $145,000
Drug Policy Reform $2,651,600
Environment $53,848
Fair Trade & Fair Wage $90,000
Migrant Justice $850,000
Regenerative Organic Agriculture $451,000

インターナショナルでの寄付

オールワンインターナショナルイニシアチブへの寄付合計
$220,998

過去20年間で、ドクターブロナーは世界的な販売ネットワークを大幅に拡大し、現在では40カ国以上で販売されています。このグローバル展開は、創設者エマニュエル・ブロナーの孫であり、現社長のマイケル・ブロナーが、日本で英語を教えていた経験に触発され、世界中の新しい市場へのビジネス拡大を目指したことに始まります。グローバルブランドとして、「闘うソープメーカー」としての使命を世界中で体現することが不可欠です。そのために、ドクターブロナーは国際的な慈善活動プログラムを立ち上げました。ドクターブロナーと各国の代理店が、各地域での使命に沿ったアドボカシーやアクティビズムを最優先事項となるようにしました。オールワンインターナショナルイニシアチブという国際的な寄付活動を通じて、ドクターブロナーの製品が販売されているアメリカ以外の市場において、少なくとも年間売上の1%を、社会正義、環境保護、動物擁護を支援する各地域での取り組みに寄付しています。このイニシアチブは2023年で5年目を迎えました!

オーストラリア $15,000
オーストリア $2,000
カナダ $53,000
フランス $5,000
ドイツ $5,000
アイルランド $2,000
イスラエル $5,000
イタリア $1,000
日本 $30,000
韓国 $57,000
メキシコ $3,000
パナマ $2,000
シンガポール $8,000
スウェーデン $4,000
スイス $6,000
台湾 $10,000
オランダ $1,000
イギリス $12,000

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