プラスチック使用量への対応

ドクターブロナーの製品について、お客さまが最も心配される(あるいは不満を持たれる)のは、おそらくプラスチック製のパッケージでしょう。マジックソープバーやオーガニックバームなど、プラスチック製の容器を使用していない製品もありますが、現在のところ、大半の製品はプラスチック製です。
 
ドクターブロナーはお客様の懸念を共有し、パッケージをより持続可能なものにするために、やるべきことがあると理解しています。そこでドクターブロナーは、パッケージが生態系や社会に与える影響を最小限に抑え、循環型社会と再利用を支援し、最終的にはプラスチックに代わるものを見つけるために、多方面から積極的にアプローチしています。
 
もし、世界中の消費者に製品を効果的に届けられるパッケージングソリューションが存在し、それがよりエコロジカルな選択肢であると確信できれば、ドクターブロナーはすぐにでもプラスチックパッケージからの移行を行うでしょう。しかし、特効薬はありません。ですから、当面は、まず影響を最小化し、次に緩和するための複数の戦略を追求し、より良い選択肢を開発する努力をしなければならないのです。今回は、この問題を解決するために、私たちが行っていることをご紹介します。

1.ポストコンシューマーリサイクル(使用済みリサイクル)とリサイクル可能なプラスチック:アルファとオメガの両方を考える

ドクターブロナーは、プラスチックの起源である上流への影響と、素材の寿命が尽きるまでの下流への影響の両面から、プラスチックを考えています。
これは、15年以上前にドクターブロナーが先駆けた取り組みで、実際、ドクターブロナーはアメリカで初めて液体石鹸を100%PCR(ポストコンシューマーリサイクル)プラスチックボトルを容器として使用した企業です。現在でも、プラスチック製のパッケージを使用している企業のほとんどは、100%PCRどころか、PCRプラスチックも使用していません。実際、エレン・マッカーサー財団によると、毎年世界中で使用されるプラスチックのうち、実際に新しいプラスチック製品にリサイクルされるのはわずか2%程度です。しかし、ドクターブロナーはプラスチックを使う限り、PCRプラスチックを使うことを約束します。なぜなら、PCRプラスチックはバージンプラスチック、それも植物由来のバージンプラスチックに比べて大きな進歩があると考えるからです。PCR樹脂はバージン材よりも製造にかかるエネルギーが少なく、さらに重要なことは、新しいプラスチックを世に送り出すことを避けることができることです。また、PCRプラスチック製品を作ることは、リサイクルプラスチックに対する市場の需要を高め、世界中でプラスチックの回収とリサイクルがより経済的に実行可能になるよう支援することにつながります。
 
ドクターブロナーは、できるだけ多くのプラスチック包装材を、消費者が使用した後のリサイクル資源から調達することを目指しています。2020年には、ドクターブロナーのプラスチックパッケージの75%が100%PCRでした。日本で取り扱いのないマジックソープのガロンやハーフガロンのボトルなど、一部のボトルは残念ながら現在バージンプラスチックを使用していますが、私たちはその変更に取り組んでおり、来年(2022年)までにそれらをPCRプラスチックで作ることを目指しています。ボトルキャップやラベル、スプレーなど、パッケージの一部でPCRプラスチックの選択肢を見つけるのは難しいのですが、それらにも取り組んでいます。
 
ドクターブロナーは、すべてのパッケージがコンポストや再利用される日を夢見ています。しかし、それまでは、ドクターブロナーのパッケージができるだけリサイクル可能であることを保証することが重要かつ現実的だと考えています。リサイクルには、プラスチックの種類だけでなく、サイズや色、時には形も重要です。特にアメリカのリサイクル施設では、リサイクル可能な材料を識別し、適切なリサイクルの流れに乗せるために、自動選別機やセンサーに頼ることがよくあります。しかし、実際には、リサイクルできるはずのプラスチックの多くが正しく識別されず、リサイクルされずに埋め立てられています。
 
例えば、ほとんどのリサイクル施設には、より小さなものを選別するための格子があります。そのため、もしプラスチックが格子を通過できないほど小さい場合、たとえ「技術的には」リサイクル可能であっても、結局は埋め立てられてしまうのです。
 
また、小型のプラスチックだけでなく、色の濃いプラスチックも分別機ではじかれ、リサイクルされないことがよくあります。これは、色の濃いプラスチックを明るい色のペレットに変えて、カスタマイズされた色の新製品を作ることが難しいためです。最終市場が少ないため、リサイクル業者が時間をかけて材料を分離するインセンティブが少ないのです。そのため、色の濃いプラスチックの一部を色の薄いプラスチックに置き換える取り組みも行っています。

2.リユースとリフィル

マジックソープの大容量サイズを購入したり、詰め替えたりして、家にある小さな容器に入れることは、プラスチックの使用量を減らす素晴らしい方法です。私たちは、小売店がマジックソープの詰め替えステーションを提供してくれることをうれしく思っています。私たちは、5ガロンのマジックソープ容器と専用の注ぎ口を小売店に販売し、お客様はお店で自分のボトルに石けんを詰め替えることができるのです。
 
たとえば、空になった5ガロン容器のマジックソープを返品してもらい、私たちが詰め替えるというプログラムも検討しています。このプログラムは、今年後半にサンディエゴの地元店舗で試験的に実施する予定です。このプログラムがうまく機能すれば、さらに多くの小売店に広げていく予定です。
 
*日本ではマジックソープのガロンサイズの取り扱いはございません。詰め替えでの販売は、Biople by CosmeKitchen七里ヶ浜店のみ行っております。

3.プラスチックニュートラルと世界のプラスチック汚染削減を目指す

プラスチック包装の影響を減らすために、ドクターブロナーが採用しているもうひとつの戦略は、「オフセット」、あるいはドクターブロナーの場合は「インセット」と呼ばれるものです。オフセットという概念は、温室効果ガス排出の世界ではよく知られているのではないでしょうか。例えば、再生不能な電力を使用した場合に排出されるのと同量の炭素を吸収する植林費用を支払うことで、温室効果ガスを排出する企業は、その排出量をオフセットすることができるのです。つまり、大気中に炭素を排出しながらも、それと同量の炭素を大気中から取り除いていることになるのです。「インセット」は、基本的にはオフセットと同じ概念ですが、財務投資と環境活動が自社のサプライチェーン内で行われることを指します。
 
カーボンオフセットと同様のコンセプトをプラスチックにも適用し、企業がお金を払って環境からプラスチックを回収することで、「プラスチックニュートラル」を追求することができます。これはかなり新しいコンセプトなので、カーボンクレジット(温暖化ガスの排出削減効果を取引できる形にしたもの)に比べると、比較的新しい市場でクレジットが販売されています。ドクターブロナーの場合、すべてのプラスチックが同じようにリサイクルできるわけではありませんから、パッケージングで生産するのと同量のプラスチックだけでなく、同じ種類のプラスチックを回収し、何らかの方法でリサイクルまたは再利用できないかどうかを確認したいと考えています。フェアトレードプロジェクトやリジェネラティブ・オーガニックへの取り組みで行ってきたように、ドクターブロナーのサプライチェーンのコミュニティに投資し、石けん製造の二酸化炭素排出量を削減すると同時に、原材料の産地であるコミュニティをサポートしたいと考えています。
 
例えば、ミント油の生産地であるインドのバレイリーや、パーム油の生産地であるガーナのアスオムなど、原材料を供給してくれる地域の道路や土地、水路からプラスチック廃棄物を回収する方法を現在研究しています。これらの地域では、プラスチック廃棄物を回収するインフラがほとんどないため、廃棄物は地域の環境を汚染するか、有害な大気汚染を引き起こす可能性のある山で焼却されることになります。私たちのプラスチックインセットプログラムは、サプライヤーのフェアトレード事業の一環としてこの廃棄物を回収し、新たなフェアトレードの雇用を生み出すとともに、現地でリサイクルやダウンサイクルを可能にし、コミュニティに散乱するゴミも一掃することができます。

4.でも、やっぱりプラスチック

プラスチック製の包装材やフェアトレードのプラスチック清掃活動はいいけれど、プラスチックから完全に脱却すべきではないでしょうか?しかし、お客様に品質と価値を提供しながら、どうすればプラスチックから完全に脱却できるかを考えるのは、簡単なことではありません。
 
プラスチックに代わる素材を考えるとき、ドクターブロナーはその素材のライフサイクル全体について考えます。一見するとエコに見える素材でも、よくよく調べてみると問題があることが多いのです。代替素材のライフサイクル全体を支えるインフラや市場がまだ存在していないことが多く、また、環境や労働に与える影響も考慮しなければならないことがほとんどです。例えば、ドクターブロナーの製品に適したバイオベースのプラスチックを見つけたとしても、それが農業に与える影響を十分に考慮しなければなりません。そのプラスチックに使われるトウモロコシ、砂糖、ジャガイモは農薬を使って栽培されていないか?その土地は、食料の栽培や太陽光発電に使うべき土地ではないか?一見するとバイオプラスチックは良い代替品に見えますが、バスルームに置いておくことに耐えられないでしょうし、比較的軽いプラスチックに比べて重いため、輸送に伴う温室効果ガスへの影響も大きくなります。「無限にリサイクルできる」アルミニウムは有望に見えますが、バージン材料の採掘と生産を考えると、環境と労働に大きな影響を与えます。
 
このような困難があるにもかかわらず、ドクターブロナーはより良いパッケージング・ソリューションの革新に取り組んでいます。エコロジカルなパッケージングの進歩に目を配り、業界を超えた多くのパートナーと協力しながら、最終的にはプラスチックに代わる優れた素材を利用できるようにしたいと考えています。

5.リサイクルとコンポストのためのインフラを変える

前述したように、技術的にリサイクルやコンポスト可能なパッケージを製造するだけでは十分ではありません。もし、その使用済み製品を持続的にサポートするインフラや経済市場が存在しなければ、そのパッケージはほとんどの場合、埋め立てられるか、単に環境中に流出し、私たちの土地、海、川、コミュニティを汚染することになるでしょう。そのため、’ドクターブロナーは、本社のあるカリフォルニア州および米国全体で、リサイクルとコンポストのインフラをさらに整備するための政策を支援しています。

カリフォルニア州では、「カリフォルニア州プラスチック廃棄物削減規制イニシアチブ」の大口寄付者(ニューアプローチPACを通じて)であり、2022年11月のカリフォルニア州民投票への参加を目指しています。このイニシアチブは次のようなものです。
 
– 2030年までに、使い捨てのプラスチック包装や食器類をリサイクル、再利用、詰め替え、または堆肥化できるようにすることを生産者に義務づける。
 
– 2030 年までにカリフォルニアで販売される使い捨てプラスチック包装材と食器の量を 25%以上削減することを生産者に義務付ける。
 
– 使い捨てプラスチック包装および食品用品の製造において、再生材料および再生可能な材料を使用することを生産者に義務付ける。
 
– 引き取りプログラムや保証金など、「消費者が便利にリサイクルを利用できる仕組み」を確立する。
 
– 廃棄される使い捨てプラスチック包装および食品用器具の分類を支援するラベル付け基準を設定し、施行する。
 
– 食品業者による発泡スチロール製外食用容器の配布を禁止する。

連邦レベルでは、ドクターブロナーはBreak Free From Plastic Pollution Act (H.R. 5845)を支持しています。この法案は、包装材製造業者に、製造した包装材(消費者使用後)の回収とリサイクルまたは堆肥化の管理について財政的な責任を負わせるものです。また、包装に含まれなければならないリサイクル素材の最低量を増やし、プラスチック製の食器など特定の製品の使用を段階的に廃止するものです。また、何が本当にリサイクル可能なのかについて、より正確な情報を含むよう、FTCのグリーンガイドを更新することも支持します。
地域レベルでは、ドクターブロナー本社のあるビスタ市を含むサンディエゴ郡周辺のビーチコミュニティで、使い捨てプラスチックの禁止と、より良いコンポスト施設への投資を提唱しています。
 
しかし、まだまだやるべきことはあります。そして、それはドクターブロナーだけではできないこともわかっています。
他社とパートナーシップを組み、競争前のベストプラクティスやリードを共有し、政策提言活動などのプロジェクトで協力しています。ドクターブロナーは、以下のワーキンググループのメンバーであることを誇りに思い、他社から学び、協力してソリューションを革新し、前進させることにワクワクしています。
 
OSC2’s Packaging Collaborative & the Redefining Flexible Films Innovation Workshop:
– https://osc2.org/industry-collaboratives/packaging-collaborative/
– https://www.rcdpackaging.com/rff-whitepaper
– B Corp Climate Collective の運営委員を務め、B Beauty Coalition を共同設立し、その両方にパッケージングワーキンググループが含まれる。
– https://www.bcorpclimatecollective.org/
– https://www.happi.com/contents/view_online-exclusives/2021-07-02/b-corps-in-beauty-bond-together/
– Grove Collaborative の Beyond Plastic Working Group。
– https://www.grove.co/beyondplastic/
– prAnaのResponsible Packaging Movement。
– https://www.prana.com/sustainability/responsible-packaging-movement.html

そして、消費者でありパートナーであるあなたの協力が必要です。 私たちの活動に参加し、Plastic Free Julyに参加することで、あなた自身の生活の中でプラスチックを最小限に抑え、解決策の一部となる方法を見つけてください。

◆ライター
ダーシー・シバー・ノールズ(Darcy Shiber-Knowles)

ドクターブロナーのオペレーション・サステナビリティ&イノベーション担当ディレクターです。食、環境保護、コミュニティ形成に情熱を傾け、自由時間には歌とヨギーの練習に励んでいます。

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